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犬の子宮蓄膿症について
犬の子宮蓄膿症の原因
犬は排卵後に形成された黄体ホルモンが機能する期間が約2ヶ月間持続し、黄体ホルモンは子宮内膜の増殖を促すため子宮内膜が肥厚します。
子宮内膜が肥厚した状態になると細菌感染を起こしやすくなり、子宮に膿が溜まり子宮蓄膿症を発症します。
子宮蓄膿症の原因となる細菌の多くは大腸菌で、肛門周囲にある菌が膣を経由し子宮に入って感染を起こします。
犬の子宮蓄膿症の症状・初期症状
開放性と閉塞性がありますが、どちらの場合でも初期の段階では殆ど無症状です。
開放性では外陰部からおりものが出続けるため、「生理が終わらない」と病院を受診する飼い主さんが多いようです。
臭いのきついおりもの(血液や膿)が排出され
発熱
元気が無くなる
食欲低下
飲水量の増加
排尿量の増加
外陰部の腫大
などが見られます。
閉塞性では外陰部からの分泌物は無く、開放性と同様の症状が見られる他、
腹部膨満
嘔吐
下痢
ショック症状
などが起こり、開放性よりも重度の症状を表します。
閉塞性で子宮内に膿が大量に溜まっている場合に腹部を圧迫するなどし、子宮が破裂して腹腔内に漏れ出てしまうと、腹膜炎や多臓器不全、ショック症状などを起こし短時間で死に至ることもあります。
また、子宮内で増殖した細菌が出すエンドトキシン(毒素)が身体全体にダメージを及ぼすことで、治療が間に合わずに死に至る場合もあります。
犬の子宮蓄膿症になる確率
子宮蓄膿症になる確率は文献により異なりますが、10才までに25%の確率で発症するとも言われています。
6~7才頃から発症のリスクが高まります。
特に1度も出産したことが無い犬や長期間出産していない犬では感染する確率が高くなります。
黄体ホルモンの影響により子宮内膜が肥厚する状態を繰り返していると感染しやすくなるため、発情期を何度も経験した高齢犬ほど子宮蓄膿症を発症するリスクが高くなります。
定期的に出産している犬の場合、発症率は低いとされています。
犬の子宮蓄膿症の手術・手術費用
子宮蓄膿症で最も推奨されている治療方法は、子宮と卵巣の摘出手術です。
一般的には診断が下された後はすぐに入院となり、点滴処置を行い手術が行われます。
閉塞性の場合には膿が体外に排出されず危険な状態であるため、特に緊急を要します。
血液検査の結果すぐに手術が出来る全身状態でなかった場合には、数日間入院・点滴しながら体調管理を行い、再度血液検査を行い手術が出来る状態であることを確認してからの手術となります。
高齢犬で手術に耐えられない場合や、他の病気があり全身麻酔がかけられない場合、繁殖させるために子宮を残したい場合には手術は行わず、抗生物質などによる内科的治療が適用されますが、この方法では多くの場合再発してしまいします。
手術費用は病院ごとに異なり、症状によっても大きく変わってきます。
目安として小型犬で4~20万円くらいで、その他入院費や血液検査代、点滴代などがかかります。
症状が軽度で手術翌日に食欲が戻り1泊で帰宅できる場合もあれば、抜糸までの10~14日くらいは入院管理になることもあります。