Contents
犬のインフルエンザについて
犬もインフルエンザになる?
犬インフルエンザウイルス(CIV)が確認されたのはかなり最近で、犬に感染する種類のインフルエンザです。
人間のインフルエンザは数千年前から確認されていましたが、犬インフルエンザはまだ出現して15年余りです。
2004年にアメリカでドックレース用のグレーハウンド22頭が競馬場で馬インフルエンザであった「H3N8」に感染し14頭は回復しましたが8頭は死亡しました。
また、鳥インフルエンザの「H3N2」は2005年頃から韓国や中国で犬に広がり、タイでも2012年に犬への伝播が確認されています。
これらは、生鳥市場での感染や、感染した鳥を加工した餌を食べたことによる感染と推定されています。
アジアでは、他にも数種類のインフルエンザウイルスが犬から分離しています。
2015年にはシカゴ近郊のシェルターなどで千頭以上の犬にH3N2が感染しています。
これはアジアで食用とされていた犬を救済のためにシカゴに運んだところ、感染源となり広がったと考えられています。
現在までに約20州で感染の報告があります。
2018年にはカナダでの発生が確認されています。
日本ではH3N2ウイルスは確認されていません。
犬のインフルエンザの症状
犬インフルエンザは、2~4日の潜伏期間の後、多くは上部気道にウイルスが増殖することによる呼吸器症状を現します。
症状は比較的軽く、合併症を起こさなければ通常2~3週間以内に回復します。
ケンネルコフと殆ど同じ症状で、
咳
くしゃみ
鼻汁
発熱
抑うつ
食欲低下
などが見られます。
約20%は不顕性感染(無症状)とされています。
細菌の二次感染を起こしたり下部気道にウイルスが侵入し重症化した場合には、肺炎や40℃以上の発熱を起こすこともあります。
犬のインフルエンザは人や他の動物にうつる?
基本的には同種間(犬から犬、人から人)でうつるものですが、前述したように過去にはウイルスが馬から犬へ感染したり、犬から猫へうつった例があります。
犬インフルエンザが犬から人へうつった例は確認されていませんが、2009年にはインフルエンザウイルスが豚から人へ伝染した例があります。
また、ごくまれにウイルスが突然変異を起こし形を変えて、新型インフルエンザが出現しまうことがあるため、人にも感染するようになる可能性は否定出来ません。
日本で犬インフルエンザは報告されていませんが、不顕性感染の犬の輸入や人の衣類などに付着したウイルスが国内に侵入する可能性があります。
中国では野良犬の存在や犬肉市場があることから、もし人に感染するインフルエンザウイルスが出現した場合には伝播しやすい環境と言えます。
現在、アメリカの疾病対策センターや農務省では年間通して動物のインフルエンザを監視しており、犬インフルエンザが人へ伝播したときに備えて対策を講じています。