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猫の便秘について
猫の便秘の原因
・腸閉塞
腸の内容物が詰まり、物理的に肛門が側に通過出来なくなった状態を腸閉塞と言います。
猫で多くみられる腸閉塞の原因には、グルーミングで飲み込んだ毛が消化管内に詰まる毛球症や、異物(おもちゃやビニールなど)の誤飲誤食などがあります。
他にも、腫瘍や腸炎が原因となり腸閉塞を起こすことが考えられます。
・神経障害
椎間板ヘルニアなど、交通事故や高所からの落下により脊髄の神経が圧迫され感覚が鈍くなり便秘を引き起こすことがあります。
神経障害が起こると、便秘以外にも後足がふらついたり、尿や便を漏らすなどの症状が見られます。
・肛門付近の病気や怪我
肛門嚢に細菌が繁殖し、炎症を起こす「肛門嚢炎」や、肛門付近の外傷が原因で排便時に痛みを伴う場合、排便を我慢して便秘を起こす場合があります。
また、肛門周囲に腫瘍が出来た場合には、大腸が圧迫されて排便困難になる場合もあります。
・直腸や結腸の腫瘍
腸に発生した腫瘍により便秘が起こることがあります。
良性の腺腫や平滑筋腫の他、悪性のリンパ腫や腺癌、肥満細胞腫などがあります。
腫瘍の種類や発生する場所にもよりますが、
便秘の他に嘔吐
下痢
黒色便
血便
食欲不振
などがみられます。
・巨大結腸症
猫に多く見られる、結腸が常に拡張した状態になる病気です。
便が結腸に慢性的に停滞すると、水分が吸収され便が固くなります。
結腸が長期間にわたり伸びてしまうと、腸の蠕動運動が極端に低下する結腸無力症という状態になります。
便秘の他
しぶりや脱水
頻繁に排便姿勢を取る
嘔吐
食欲不振
体重減少
などが見られます。
・腸や肛門以外の病気
高齢猫に多い腎不全や、甲状腺が腫瘍化する甲状腺機能亢進症を患っていると便秘になりやすくなります。
猫の便秘の症状
何度も排便姿勢を取るが排便しない(もしくは少量しか出ない)
ガスで腹部が膨れる
腹部を触ると固い
嘔吐
食欲不振
脱水
などの症状がみられます。
便秘の原因が腸の腫瘍や会陰ヘルニアによるものでは、便の通り道が狭くなっているため扁平状の便を排泄することもあります。
猫の便秘は何日くらい様子見たらいい?
食餌の量や内容、運動不足、水分摂取量の不足によって1~2日くらい排便がないことがあります。
この場合は元気や食欲に変わりがなければ様子を見ても大丈夫です。
便秘の状態が何日も続くと、腸にガスが溜まり腹痛を起こしたり体調不良になります。
便秘以外に嘔吐や腹部膨満が見られたり、丸2日以上排便がなければ速やかに動物病院を受診しましょう。
猫の便秘を解消する食べ物
食物繊維の多い食餌は排便をスムーズにする効果が期待出来ます。
ロイヤルカナンの「消化器サポート 可溶性繊維」は急性及び慢性の便秘に対応した療法食で、消化性が高く、食物繊維が多く配合されています。
但し、食物繊維は摂りすぎると消化管に負担がかかることもあるので、食物繊維の摂らせ方やフードを切り替えについては必ず獣医さんに相談しましょう。
猫の便秘を促進させる食べ物
フードに含まれる食物繊維が少なかったり、逆に多すぎると便秘になりやすくなります。
タンパク質や脂質が少なくても便秘が促進されます。
猫の便秘の対処法・解消法
腸の蠕動運動が弱くなると便秘を起こしやすくなります。
おもちゃを使って遊んで適度に運動させたり、お腹を軽くマッサージして排便を促しましょう。
また、食餌を繊維質の多く含む物に変えたり、便をスムーズに出す為にウェットフードを与え水分摂取量を増やすことも良いでしょう。
猫が通る場所に水飲みを多く設置したり、新鮮な水が飲めるよう小まめに取り換えましょう。
便秘を引き起こす原因となる病気があれば、根本的に病気を治療する必要があります。
猫の便秘解消のマッサージやツボ
マッサージは猫が十分リラックスしている時に行います。
猫を横向きや仰向けの状態にして、下腹部を「の」の字を描くようにマッサージします。
お腹は猫の弱点なので、指の腹を使い優しくゆっくりと行いましょう。
尾の付け根にも、身体のバランスを整えるツボがあります。
比較的嫌がらない場所なので、優しくマッサージしてみましょう。
猫の便秘薬
「ラクツロースシロップ」には、排便を促進する効果があります。
甘いシロップで、フードに混ぜたり、シリンジ(針の付いていない注射器)で直接口に入れて投与します。
まずは少量から与えますが、便がゆるくなりすぎたら量を減らしたり、便秘の改善が見られなければ量を増やすなど、状態を見ながら投与量を調整します。
人用の便秘薬は猫にとって害がある場合もあるので、絶対に使用してはいけません。