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猫の歯周病について
猫の歯周病を放置したら?
歯周病ではまず歯肉が炎症を起こします。
炎症は徐々に歯根膜や歯槽骨に及び、歯周ポケットが深く形成されます。
更に症状が進行すると歯根部が露出し出血が見られたり、歯がぐらついて抜け落ちたり、根尖膿瘍を起こすことがあります。
猫の歯周病の症状
口臭が酷くなる
よだれが増える
口を触ると嫌がる
食欲不振
くしゃみや鼻水が出る
歯肉からの出血
頬や顎が腫れる
といった症状が現れます。
また、食べ方にも変化が現れます。
フードを食べこぼす
食べるの速度が遅くなる
食餌中に頭をよく振る
片方の顎で食べる
柔らかい物しか食べない
突然奇声を発する
などの様子が見られます。
歯周病の原因菌などが内臓にまで拡散し、心臓病や腎臓病、肝臓病を引き起こすこともあり、更に重度の歯周病になると敗血症やDIC(播種性血管内凝固症候群)などを併発する危険性もあります。
猫の歯周病の予防方法
歯周病には「歯肉炎」と「歯周炎」の2段階があります。
歯垢や歯石が蓄積して歯と歯肉の間の歯肉溝に入り込むことでまず歯肉炎を起こすので、歯垢や歯石を蓄積させないことが大切です。
猫の歯垢はおよそ10日~2週間で歯石に変化します。
1度歯石になってしまうと動物病院で歯科処置を受けなければ除去出来なくなるため、歯垢の段階で歯ブラシでブラッシングを行い食べかすや歯垢を落とすことが重要になります。
また、免疫力が低下していると歯周病にかかりやすくなるので、食餌は総合栄養食を与えましょう。
猫の歯周病の薬
抗菌薬や消炎鎮痛剤などを使用することがありますが、薬の服用だけで歯周病を根治することは困難です。
猫の歯周病の治療方法
歯周病が軽度であったり、健康状態に問題があり外科的治療が困難なケースでは内科的治療が選択されることがありますが、歯石を落とさない限り歯周病は治りません。
軽い歯肉炎であれば、歯石除去の処置で改善します。
無麻酔では歯の見えている部分の歯石しか落とせないので、全身麻酔になります。
重度の歯肉炎を起こしている場合は、その部位の抜歯が必要になることもあります。
細菌が血管に侵入し心臓病や腎臓病にかかった場合には、その病気に対する治療が行われます。
猫の歯周病の治療の費用
病院により差がありますが、内科的治療では5千~1万円くらいです。
歯石除去や抜歯を行う場合は全身麻酔の費用や血液検査代がかかり、2~4万円くらいが目安となります。
抜歯の本数が多かったり、顎の骨が溶けて骨折するような重度の歯周病では10万円くらいになることもあります。
猫の歯周病の抜歯後で気を付けること
抜歯後も、残っている歯は歯磨きを行い歯周病を予防する必要があります。
抜歯した歯の本数が多かったり、歯肉の炎症が著しい症例では、炎症が軽減して縫合した部位が治るまでの1週間ほどは歯磨きは行わずオーラルケア用品を使用しケアします。
オーラルケア用品には、奥歯の側面に2~3滴ずつ滴下する「マキシガード(共立製薬)」や、飲み水に適量を混ぜて与えるだけの「アクアデント(ビルバック)」などがあります。
デンタルガムや療法食である「t/d」は、噛むことで歯垢を削り取るように作られた製品なので、抜歯直後の縫合部位にこれらが接触すると痛みを感じたり、縫合部位が裂けて開いてしまう危険性があります。
したがって、これらを与えるようであれば縫合部位が癒着するまでの1週間程度を過ぎてからにしましょう。