犬の健康管理

犬のワクチン接種の重要性・種類・間隔・料金・時期・副作用・散歩や注意点

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犬のワクチン接種

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犬のワクチン接種の必要性

ワクチンとは伝染しやすい病気や、感染すると命にかかわったり、感染後の後遺症で日常生活が困難になったりしやすい病気になりにくくなるために開発された医薬品です。

ワクチンを適切に接種することによって、こういった病気に感染しにくくなり、感染しても症状が軽くて済むようになります。

また、ある感染症に対するワクチンを接種している犬が大多数を占めると、その病気が周囲に蔓延していくこと自体を予防することができます。

結果的にその感染症の全国的な流行を阻止することができ、全ての犬がワクチンを定期的に接種することにより最終的にその感染症を根絶することも可能となりえます。

このように、ワクチン接種には、「個体の感染予防」の役割と「周囲への流行予防」の役割の2つがあると言えます。

現在の日本でヒトに例えるなら、風疹ワクチン接種がこれに相当すると言えるかもしれません。

「周囲への流行予防」の役割をもつ代表的な犬のワクチンに狂犬病ワクチンがあります。

狂犬病は人獣共通のウイルス感染症の一つで感染し発症した場合、ほぼ100%の確率で死に至る病です。

狂犬病の発生が確認されていない国・地域を「狂犬病の清浄国」といいます。

狂犬病清浄国は2011年までは11か国でしたが、2018年現在では日本を含めてわずか7か国のみとなりました。

万が一、狂犬病が日本に上陸した場合、それを蔓延させないため、ヒトへの感染源となりやすい犬への狂犬病予防接種が行き渡っていることが重要となってきます。

犬ワクチンの種類

犬のワクチンは大きく分けて2種類があります。
一つは厚生労働省令である狂犬病予防法に基づき接種が飼い主に義務付けられている狂犬病ワクチンです。

もう一つは飼い主の方が任意で接種するワクチンで、複数の病原体に対するワクチンが開発されています。

その中でも、すべての犬に接種が推奨されているワクチンを「コアワクチン」、住んでいる地域やライフスタイルによっては接種した方が有益であるワクチンを「ノン(非)コアワクチン」といいます。

コアワクチンは、感染して発症すれば命にかかわったり、発症後の後遺症が重篤であったりする感染症の中でも世界的に重要なウイルスに対するワクチンのことです。

犬の場合には犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス1型、犬アデノウイルス2型、犬パルボウイルス2型に対するワクチンがあり、狂犬病ワクチンもコアワクチンの一つと言えます。

ノンコアワクチンは、特定の状況下、すなわち感染リスクの高い犬の場合には接種が推奨されるものです。

これには、各種レプトスピラと 犬パラインフルエンザウイルスに対するワクチンが含まれます。

例えば、細菌の一種であるレプトスピラは皮膚や粘膜から侵入する人獣共通感染症で、感染すれば命にかかわることがあります。

しかし、げっ歯類などの保菌動物の尿に含まれるレプトスピラが混ざった水や土に触れる機会が全くない犬であればワクチンは不要で、逆に触れる機会がある犬では感染リスクが高いためワクチンが必要となってきます。

犬ワクチンをうつ間隔

ワクチンを接種する間隔は初回のワクチンプログラムの状況や犬の年齢、ワクチンの種類によって異なってくることがあります。

狂犬病ワクチンの場合は、基本的に4月1日から6月30日の間に1回の接種となるので、ほぼ1年ごとになります。厚生労働省令で法的に義務付けられたものなので、各都道府県の市区町村が上記の期間のいずれかで集団予防接種の場を設けています。

諸事情により集団予防接種が受けられない場合はかかりつけの動物病院での接種も可能です。

コアワクチンの場合は、各ウイルスの感染防御ができる免疫力を維持できる「抗体持続時間」によって間隔は変わってきます。

子犬の頃のワクチン接種プログラムが全て終わっている場合であれば、以降は1~3年ごとの接種が目安となってきます。

ただ、「抗体持続時間」は個体差もありますが、接種時の犬の体調やその後の既往歴、投薬内容などによっても変動してきます。

コアワクチンに関してはかかりつけの動物病院とよく相談して適切な間隔で接種するようにしましょう。

ノンコアワクチンの場合は、「抗体持続時間」がほぼ1年のため、必要な状況下にある犬では1年ごとの接種が推奨されています。

犬ワクチンの各料金

獣医療は自由診療であるため、各ワクチンの接種費用はヒトの保健適応外の一般予防接種とほぼ同程度の費用がかかってきます。

狂犬病ワクチンのような1種類のワクチンであればヒトのインフルエンザの予防接種と同じくらいで3000~5000円前後が一般的です。

複数のワクチンが混合されているものであれば5000~10000円前後が目安ですが、含まれるワクチンの種類が多いほど費用は高くなっていきます。

動物病院によっては、ワクチン接種費用に初診料や再診料などが加算される場合もありますので、事前に電話でワクチン接種にかかる総額を聞いておくと安心です。

犬ワクチンをうつ時期

狂犬病ワクチンであれば、犬を取得した日(生後90日以内の犬を取得した場合にあっては、生後90日を経過した日)から30日以内に接種を行うことが、法的に定められています。

次回の接種は基本的に翌年の4月1日から6月30日の間となります。

コアワクチンであれば子犬の場合、母犬からの移行抗体が最も早く消失する可能性がある生後6~8週齢で第1回目のワクチンを接種します。

その後は移行抗体がほぼすべての個体で無くなるとされる期間(生後16週齢以降)まで、2~4週間毎に追加接種をしていきます。

次回のワクチン時期を覚えてもらいやすくするため4週間~1か月毎としている動物病院が多いです。

免疫を強化するため、生後26週齢~52週齢の間に追加接種が推奨されていますが、これは病原体に対する抗体の状況により変動します。

以降は同様に抗体の状況に応じて1年から3年毎となります。

ノンコアワクチンであれば、コアワクチンの接種状況に応じて、生後12~16週齢で初回接種となり、3~4週間後に再接種、以降は年に1回となります。

犬ワクチンの副作用

・注射部位が一時的に赤くなったり腫れたりすることがあります。

・注射部位周辺を一時的に痛がることがあります。

・ワクチン接種後に一過性の発熱、元気や食欲の低下がみられたり、嘔吐や下痢をしたりすることがあります。

・ワクチン接種後、過敏な体質の犬の場合、まれにアレルギー反応がみられることがあります。

ワクチン接種直後~30分以内。
アナフィラキシー反応、ショック症状とも呼ばれる重篤なアレルギー症状が起こることがあります。
初期症状は、そわそわしたり、呼吸が早くなったり、涎を流したりして、口や眼の粘膜が蒼白になってきます。
震えだすこともあります。
この状態を放っておくと、血圧の低下、体温の低下、痙攣、呼吸困難、失神、尿失禁などの症状も出現し命にかかわってきます。
幼い子犬ほどショック症状を起こす可能性が高くなってきます。
毎回のワクチン接種後30分は院内で愛犬の様子をみておきましょう。
初期症状の徴候があれば大至急獣医師に伝えましょう。

ワクチン接種後数時間~72時間
蕁麻疹や顔面がみるみる腫れてくるムーンフェイス症状、全身の痒みといった症状が起こることがあります。

注意点:ワクチンの副作用(副反応)は自宅に帰ってから症状が出てくることが多いため、ワクチン接種後は自宅で安静にさせつつ、2~3日は様子をチェックし、異常があれば動物病院に連絡しましょう。

犬ワクチン接種後の散歩や注意点

ワクチン接種後、2~3日は激しい運動をさせたり興奮させたりすることがないようにゆっくり過ごさせてあげましょう。

シャンプーなど犬にストレスがかかりやすい行動も数日は控える必要があります。

成犬であれば散歩は普段より軽めにしておくと良いでしょう。子犬の場合は、獣医師の許可を得てから始めるようにします。

ワクチン接種における副作用の幾つかは自宅で様子をみるだけで問題がないこともありますが、普段と違った様子がないか2~3日はチェックし、異常があれば、動物病院に連絡を取れるようにしておく必要があります。

このため、ワクチン接種は午前中か午後の早い時間帯に受けることをお勧めします。

また、体調が悪いと副作用は出やすくなってきます。調子が悪いところがあれば、ワクチンの時に診てもらうのではなく、ワクチン接種前に診てもらうようにして、体調が万全な時にワクチンを接種するように気をつけましょう。

 



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