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犬の口蓋裂について
犬の口蓋裂の手術と費用
口蓋裂は手術をしない限り完治しない病気です。
裂孔(裂け目)が過大でなければ閉鎖は可能です。
早い段階で手術をする必要がありますが、新生児では麻酔によるリスクが高いことと、身体が小さく手術そのものが困難であるため、ある程度まで成長してから手術を行います。
それまでは、ミルクを人工的に与えたり、胃にカテーテルを入れ流動食の食餌を与えるなどして管理します。
また手術が出来るまでシリコンで仮に塞いでおく方法もあるようです。
そして硬口蓋裂と軟口蓋裂の2種類の手術があります。
手術にはいくつかの方法がありますが、一般的な硬口蓋裂の手術では、まず吸入麻酔を処置し、開口器で口を開いて保持し、舌や気管チューブを下顎側に引き寄せて口蓋裂が良く見えるような状態にします。
裂け目をそのまま寄せてもくっつかないので、裂孔の縁に沿ってメスで切開し、細い帯状の組織を切り離して新鮮な裂孔の縁を作ります。
次に、裂孔の外側の硬口蓋の粘膜に、歯の列に平行するようにメスで切開します。
切開された硬口蓋の組織を、骨刀と呼ばれる器具を使い骨面から剥離し、裂孔の両側に2つの帯状の遊離した組織を作ります。
この遊離組織を口蓋裂の上に引き寄せて、縫合糸で縫い合わせます。
粘膜組織が剥離された骨面は通常自然治癒します。
軟口蓋裂の手術は硬口蓋裂と同じ様に裂孔の縁に沿いメスで切開し新鮮な裂孔の縁同士を縫い合わせる方法を行いますが、無理に引き寄せると縫合部に強い力が加わり組織が破けてしまうため、組織の緊張を緩めるよう裂孔の両側の粘膜に平行する切開を行います。
切開することで治癒も早くなるとされています。
手術後は、一般的には1~2週間ほどの入院管理が必要になります。
また、口蓋裂を完全に修復するには、複数回に渡る手術が必要になる可能性があります。
1回の手術にかかる費用の総額は、口蓋裂の程度や手術方法、動物病院などにより異なりますが、小型犬で5~20万円くらいかかります。
高齢犬であれば、手術前に血液検査や心電図検査、レントゲン検査などを行い、麻酔処置が可能なコンディションであることを確認してから手術を実施するため、費用は余計にかかります。
犬の口蓋裂は重度になるとどうなるの
上顎に穴が開くことで、口の中と鼻の穴が繋がります。
子犬ではミルクが上手く飲めずに栄養不足で成長不良を起こし、放置すると1週間くらいで死に至ります。
鼻にミルクや餌が入り込み、気管に入り呼吸困難を起こします。
更に、肺に入り込み誤嚥性肺炎へと進行し死に至ることもあります。
生存率が低いことから、安楽死を選択されることも多い病気です。