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猫の巨大食道症
猫の巨大食道症の症状
食道の拡張の程度が軽い場合には目立った症状が現れないこともありますが、一般的には食道の運動機能が低下するために食べ物や水を食後数分~数時間で吐き出します。
比較的短時間で吐き出すことが多いようですが、頻度は様々です。
咽頭の機能不全を併発している症例では、嚥下困難も見られます。
また、嘔吐を併発するケースもあります。
吐いた食べ物や水を誤嚥し肺炎を起こし、咳や呼吸困難、肺からの捻髪音(パチパチ、チリチリといった粘り気のある呼吸音)、発熱を呈すことがあります。
食道炎を併発し、よだれや食欲不振が見られることもあります。
食べ物を上手く飲み込めずに十分な栄養を摂取出来ない場合には、体重減少が見られます。
原因が重症筋無力症の場合、疲れやすくなったり筋萎縮や虚弱を伴うことがあります。
猫の巨大食道症は完治するのか
特異的な治療は無いため、完治は困難です。
病気の原因を取り除く治療というよりは症状を軽減することを目的とした治療が施されることが多いです。
猫の巨大食道症で気おつけたい食事
食べ物を食道に留まらせずに重力で胃に送るために、高い場所に食餌を置き、立った状態で流動食を食べさせることで嘔吐を減らすことが出来ます。
一度にたくさん食べさせないことも大切です。
食後もしばらくの間立った姿勢を保ちます。
重度の場合には鼻からカテーテルを入れたり、胃瘻チューブを設置することで食餌を与える方法もあります。
猫の巨大食道症の治療方法
食道炎や、猫ではまれですが副腎皮質機能低下症や甲状腺機能低下症などの原因となる病気があればその病気に対する治療を行います。
しかし、詳しい検査を行っても原因の特定が困難な場合もあります。
治療には基本的にピリドスチグミンやステロイド剤といった内服薬が使用されますが、ステロイド剤の使用に際しては、薬の副作用として食欲増進作用があるため誤嚥性肺炎を起こすリスクが高くなったり、筋肉の虚弱が起こるために、低用量から治療を開始するなど注意が必要になります。
特に誤嚥性肺炎を起こした猫に対する免疫抑制剤の使用は慎重に検討されるべきとされています。
食道炎や肺炎を併発していれば、抗生物質などの内科的治療を行います。
食道腫瘍や食道内異物がある場合には外科手術が必要になることがあります。
猫の巨大食道症の予後
後天性の巨大食道症に対しては、原因となる病気に対する治療を行うことでコントロールが出来たならば、症状は改善し長期に生存することも可能です。
重症筋無力症では自然寛解する症例もあります。
治療に対する反応が悪かったり、重度の場合は難治性が高いです。
全体の生存期間の中央値が3ヶ月との報告があります。
誤嚥性肺炎の合併により急死することもあります。