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犬のアトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎とは、アレルギー性皮膚炎の一種で、ダニ(ハウスダストマイト)、花粉、カビ、ノミなどがアレルゲンとなって皮膚に症状が現れる病気です。
近年、人も犬もアトピー性皮膚炎が増加傾向にあるといわれていますが、これは室内飼いの犬が増え、ハウスダストマイトなどのアレルゲンに接触する機会が増えた事も一因と考えられます。
また、アトピー性皮膚炎の犬は皮膚のバリア機能が弱く、アレルゲンを取り込みやすい体質といえます。
犬のアトピー症状
目や口の周り・足の指の間・脇の下・内股などに脱毛や赤み、強い痒みがみられ、外耳炎を起こすこともあります。
このような状態が続くと、皮膚に色素が沈着したり、肥厚する症状を示します。
発症年齢は約70%が3才以下で、約85%が5才以下です。
・柴犬
・シーズー
・ゴールデン・レトリーバー
・ウエストハイランド・ホワイトテリア
などにもよくみられます。
皮膚炎・アトピー用の薬膳ドッグフード
自然の森製薬株式会社から販売されている皮膚炎・アトピー用漢方薬入りの「みらいのドッグフード」
皮膚炎・アトピーやアレルギーなどの症状がある犬に給与することを目的とした食事療法食です。
アレルゲン食材を制限し、良質なたんぱく質、脂質、ミネラル成分を調整しています。
詳細はみらいのドッグフードホームページをご覧ください。
アトピーがある犬のシャンプー・お風呂
アトピー性皮膚炎専用のシャンプーは保湿効果の高いものや止痒効果があるものなど様々な種類があるので、獣医さんにその子に合ったものを処方してもらいます。
まずは被毛と皮膚を十分に濡らします。水温が高いと痒みが出てしまうので、25~30℃くらいのぬるま湯にしましょう。
次にシャンプーを手の平に伸ばします。通常のシャンプーであれば水で薄めて泡立てることも可能ですが、薬用シャンプーは薄めると十分に効果を発揮できないものが多いので、シャンプーの使用方法をよく読み従いましょう。
シャンプーは指の腹を使い犬の身体に揉み込むようにします。
アトピー性皮膚炎の犬の皮膚は荒れており非常に傷つきやすいため、爪を立ててはいけません。
薬剤が体全体に行き渡ったら、シャンプーの種類にもよりますが10分くらい接触させておきます。
薬用シャンプーではこの時間がとても大切で、十分時間を置くことにより薬の効果が発揮されます。
薬剤が含まれていることから多少すすぎ残しがあっても良いと思われがちですが、洗剤の流し残しがあると皮膚炎の原因となるためしっかりすすぎましょう。
乾かすときは、タオルでの乾かしを中心にします。シャンプー後の皮膚はふやけて弱くなっているため、押し当てるように水分を吸わせます。
ドライヤーを使用する場合、温風を使い続けると痒みを誘発してしまうので、冷風や扇風機を使用したり冷風と温風を交互に当てましょう。
犬のアトピーはうつる?
アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質や皮膚のバリア機能低下などの生まれつきの体質に、ハウスダストマイトや花粉といった後天的な原因が加わって発症するものなので、基本的にはうつりません。
ただし、真菌症などの合併症を発症している場合は、その合併症がうつる可能性があります。
犬のアトピー薬・サプリメント
アトピー薬・サプリメントには以下のようなものがあります。
・ステロイド剤
痒みを抑える効果が高く即効性に優れ、安価です。
しかし副作用が強く、長期間使用すると体内のホルモンバランスを崩し、糖尿病など別の病気をつくってしまったり免疫力を低下させる作用のために膀胱炎や皮膚炎を起こしやすくなります。
根治治療でなく対症療法の薬です。
・抗アレルギー剤
炎症や痒みを起こす様々な化学伝達物質(ヒスタミンなど)を放出しにくくしたり、移動途中で遮断することにより症状を抑えます。
副作用は少ないですが、効き目が弱いため他の治療に補助的に使う薬です。
・免疫抑制剤
過剰な免疫を抑えることにより症状を緩和させる薬です。
副作用は少ないですが、一時的に嘔吐や下痢などの症状がみられる場合があります。
・インターフェロン
インターフェロンとはもともと犬の体内にある物質で、身体の免疫システムを調整する働きが強いとされています。
注射することで免疫システムが整い、症状の改善がみられます。
必須脂肪酸のサプリメント
必須脂肪酸はアトピーの皮膚の強化に有効です。
ビタミンや亜鉛が一緒に配合されたサプリメントが販売されています。
犬のアトピー食事・おやつ
アトピーの犬の食餌管理では、オメガ3脂肪酸やアミノ酸、バランスの取れた食物繊維が大切です。
現在、このような栄養を考えて作られたフード(療法食)やおやつが動物病院で販売されています。
いくつかのメーカーから発売されているので、その子の体質に合ったものを選びましょう。
犬のアトピー治療法
薬やサプリメントの使用以外に、アレルギーを根本的に解決するための「減感作療法」という治療方法があります。
アレルゲンを避けるのではなく、逆に定期的にアレルゲンを注射することにより身体を慣れさせ体質を改善していく治療方法です。
治療開始前に血液検査でアレルゲンを特定する必要があります。
アトピー性皮膚炎は完治することが難しい病気です。
症状の改善を求めて積極的に治療し過ぎることにより、犬に反って負担がかかることもあります。
獣医さんと相談しながら、薬やシャンプー、療法食などの治療法を組み合わせ、どのように犬の苦痛を軽減し上手く付き合っていけるかを考えましょう。