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猫のジアルジア症について
猫のジアルジア症とは
ジアルジアという鞭毛虫類に属する原虫が、猫の小腸に寄生する感染症です。
成猫は無症状なことが多いですが、生後数ヶ月の仔猫では下痢を起こし体重が減少し、発育不良となります。
嘔吐を伴うこともあります。
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猫のジアルジアの消毒と薬について
ジアルジアは休眠状態になると「シスト」と呼ばれる外殻を形成することにより環境中で長期間生存できるようになります。
また、塩素などの消毒薬に対し抵抗性が強くなり死滅しにくくなります。
このシストは猫の便ともに体外に排出されることで他の動物や人への感染の原因となります。
数ヶ月間生存するとの報告もあるので、根気よく消毒や抗原虫薬による治療を続ける必要があります。
熱や乾燥に弱いため、猫の生活環境にあるケージや食器を熱湯消毒し、よく乾かします。
クレゾールという消毒液も有効ですが、原液のクレゾールは劇薬で人にも猫にも有害で身体にダメージを与えるので使用には十分注意が必要です。
他の動物に伝染しないよう、食器やトイレを使い分けるだけでなく、ジアルジア症の疑いのある猫を隔離することも大切です。
子育てをしている猫では母子感染の危険性があります。
母猫の便を仔猫が口にしてしまうと感染してしまうので、母猫が排便すれば素早く片付け、適切に処理するなどの配慮が必要となります。
可能であればシャンプーを行い身体に付着したシストを除去しましょう。
また、ジアルジア症の猫の多くはペットショップやブリーダーなどから購入し2~3日ほどで悪臭を伴う下痢を発症しますが、中には治療しなくても症状が治癒する個体も存在し、健常に見えても他の猫への感染源となる場合があります。
もし心配であれば、新しく飼育する仔猫はジアルジアの検査を受け、結果が判明するまで消毒や他の猫と隔離することをお勧めします。
猫のジアルジアの治療方法
ジアルジアは顕微鏡による糞便検査では検出率が低く、見過ごされることも多いため、短期間に複数回に検査することがあります。
検査で検出されなかったとしても、ジアルジアが疑われれば治療を開始することもあります。
また、専用の検査キットを使用することで、検出率を大幅に上げることが可能です。
メトロニダゾールやチニダゾールといった抗原虫薬を用いて治療します。
1回の投薬で完全に駆除することは出来ず、4~7日程度の連続した投与が必要になります。投与期間を守り確実に投薬することが重要です。
一度駆虫しても完全に駆除出来ない場合もあるため、駆虫後も複数回糞便検査を行います。検便の間隔が開きすぎると薬が効かなかったのか再感染したのかわからなくなってしまうため、決められた間隔を守りましょう。
もし駆除出来ていなければ投薬を続けたり他の薬剤を検討する必要があります。
妊娠中の猫は抗原虫薬を使用すると胎児に奇形をもたらすことがあるので使用出来ません。
下痢の程度が酷かったり、長期的な場合は脱水症状や体力の低下が見られることがあります。
この場合には点滴などにより水分や電解質を補給する必要があります。
猫のジアルジア症は完治する?
ジアルジアは厄介な原虫で、簡単には落とせないため根気強く駆除する必要があります。
駆虫薬を服用することで改善がみられ、完治の可能性もあります。
しかし、一般的な消毒薬に対し抵抗力のあるシストの完璧な消毒は難しく、治療により完治したと思っても猫の生活環境中に生き残ったシストから再び感染してしまう可能性もあります。
完全に駆除するには、猫を治療すると同時に生活する環境も消毒し、一度使ったトイレ砂は交換するなど常に清潔に保つ必要があります。