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猫が脱肛になったら
猫の脱肛の戻し方(応急処置)
直腸脱には、
直腸の粘膜だけが脱出する 「部分脱出(脱肛・肛門脱)」と
直腸が肛門を通り抜け、内側を表にして2層になって脱出する「完全脱出」があります。
どちらの場合でも、脱出してからの時間の経過が短かければ潤滑剤(グリセリン、無ければ食用油やバターなど粘性のある食品)を腸に塗り、手で優しく少しずつ元の位置に押し戻します。
猫が嫌がって暴れたり、押し戻すことが困難な場合には無理をせず、脱出した部分が乾かないように生理食塩水(無ければ水)で湿らせたガーゼなどを当て、早急に動物病院を受診しましょう。
腸が脱出していると猫は気にして舐めたり噛んだりしようとします。
腸を傷つけ炎症が起き壊死してしまうと、腸を切除する手術が必要になります。
いじらせないよう、エリザベスカラーの装着が出来ると良いでしょう。
猫の脱肛の治し方
まずは応急処置として、脱出部分に潤滑剤を塗りゆっくりと肛門の中に押し戻します。
脱出の程度が重度の場合や、猫が暴れてしまったり力んでしまい戻せないようなケースでは、麻酔薬を使用することもあります。
多くの場合脱肛は再発するため、再び脱出しにくくなるような外科手術を必要とします。
また、脱肛の原因となる病気があれば、再発を防ぐためにも併せてその病気の治療を行う必要があります。
脱肛の多くは猫が慢性的に強くいきむような状態にあるときに発生するため、消化管内の寄生虫感染や直腸の炎症などによる重度の下痢や便秘は直腸が脱出する原因となります。
重度の下痢は、単純な原因で起こるものよりも消化管系の病気や腫瘍などが原因となる場合が多いと言えます。
自然治癒するものは少ないので、病気に対する適切な治療が必要です。
消化管内に回虫や鉤虫・鞭虫・瓜実条虫などが寄生している場合、下痢や嘔吐を起こし、虫を吐くこともあります。
寄生虫が確認されれば駆除薬を使用し駆虫します。
また、便秘が原因で脱門を起こすケースでは排便時に強くいきまなければ脱肛の心配は不要になります。
便を柔らかくさせるには、
便秘用の食物繊維の多い療法食を与える
水分を積極的に摂取させる
排便を促進するシロップ剤を与える
などの方法があります。
療法食やシロップ剤は必ず獣医師の指示のもと使用しましょう。
腸の動きを良くするために適度に運動させることも効果的です。
猫の脱肛の手術と治療費
症状が軽度であれば、肛門から脱出した部分に潤滑剤を塗り元の位置に押し戻した後、肛門を巾着袋のように縫合して脱出しにくくします。
縫合後は通常、約1週間で抜糸します。
しかし、脱出の程度が重度であったり、脱出してからの時間の経過が長く直腸の組織が組織が死滅してきて黒く変色しているような場合には、直腸粘膜もしくは直腸の壁全体を切除し吻合する手術が行われます。
脱出を何度も繰り返すようなケースでは、直腸やその奥の結腸をお腹の中に固定するための手術を行います。
治療費は脱肛の程度や動物病院により変わってきますが、一般的にはおよそ1~数万円ほどかかります。
動物病院に直接問い合わせると良いでしょう。
脱肛の原因となる病気があれは、その病気を治すための治療費もかかると考えましょう。